好調の輸入古着に円安の試練

昨今の円安の影響で値上げが相次ぐ中、古着にも大きく影響が出始めている。海外から仕入れ、主に国内の小売店を運営する古着店などに商品を販売する卸企業では、昨年対比で調達コストが3割ほど高騰しているという。卸企業でコストアップ分を吸収することが容易でない状況から、小売店の販売価格にも影響が及びそうだ。

3つの高騰要因

3割も仕入れコストが上昇した要因は大きく3つある。まず1つ目は、円安の影響だ。古着問わず海外から商品を仕入れる場合、ドル建での購入のため影響を受けている。1ドルが135円台となるのは、24年前の1998年以来と多くの古着輸入事業者は、「少しずつ価格は上昇していたが、3割増加は異常値。これまで経験したことがないほどのコスト増で苦しい状況」と口を揃える。

2つ目は、古着ブームに伴う古着需要の増加にある。若年層を中心に古着を購入する消費者が増えたこと。コロナ禍で海外買付けが難しく仕入れが抑制される中、需要が増えていることが価格上昇に繋がっている。また、法人や個人問わず、コロナ下で人気が高まった古着事業を始めるケースが増え、競合他社が増加したことが影響している。

3つ目は、原料価格の高騰だ。ロシアのウクライナ侵攻による情勢悪化で燃料が高騰。輸送費の値上がりが起こっている。また、「アメリカだと古着を運搬するトレーラーの運転手は年収1000万程になっている」と福生市で古着卸販売を行う山久商会(東京都福生市)の山下公一代表は話す。通勤時のガソリン代など含め運送費だけでなく、原料高騰で人件費も値上がりして仕入れコストに影響が出ているようだ。